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患者はどうやってクリニックを見つけるのか 15,715人調査に見る情報源の実態とGoogle検索・口コミ・AI検索の影響力
2026/7/1 08:45
患者はどうやってクリニックを見つけるのか 15,715人調査に見る情報源の実態とGoogle検索・口コミ・AI検索の影響力
患者はどうやってクリニックを見つけるのか
15,715人調査に見る情報源の実態とGoogle検索・口コミ・AI検索の影響力
日本医療福祉機構 調査レポート|関連プロジェクト:患者インサイト・受診行動研究プロジェクト
- 患者はどうやってクリニックを見つけるのか
- 15,715人調査に見る情報源の実態とGoogle検索・口コミ・AI検索の影響力
- 1. はじめに――「なんとなく」ではなく「体系的に」選ばれる時代へ
- 2. 大規模調査が示す「情報源の実態」
- 2.1 調査の概要
- 2.2 初めて行く医院探しはGoogle検索が主流
- 2.3 医院選びで最も重視される要素
- 2.4 コミュニケーションツールとしてのLINEの優位性
- 2.5 口コミ評価の「危険水域」
- 3. Gyro-n調査に見る情報源の「四強」構造
- 3.1 情報収集チャネルの詳細な内訳
- 3.2 男女差という重要な視点
- 3.3 口コミ内容の吟味という冷静な判断
- 4. クリニック未来ラボ調査に見る「比較検討」の実態
- 4.1 7割以上が事前に比較検討する
- 4.2 「話しやすいドクター」というニーズの本質
- 5. AI検索時代への移行という新たな変化
- 5.1 生成AIチャットボットの台頭
- 5.2 AI Overviewsという検索結果の変化
- 5.3 AIによる「思考代理」とZMOTの最終段階
- 6. アレルギー疾患・睡眠医療領域における実務的含意
- 6.1 花粉症シーズンの検索行動への対応
- 6.2 睡眠時無呼吸症候群患者の情報探索特性
- 6.3 口コミ管理の疾患領域別の重要性
- 7. 製薬企業・医療機器企業担当者への含意
- 7.1 疾患啓発コンテンツと患者の情報探索行動の接続
- 7.2 AI検索時代を見据えた情報発信の準備
- 8. まとめ
- 参考情報・出典
1. はじめに――「なんとなく」ではなく「体系的に」選ばれる時代へ
レポート22で詳述した地域医療Webサイト・レポート24で詳述したクリニックPRと患者ジャーニーでは、医療機関が発信する情報の設計・SEO/MEO戦略を論じた。本レポートは視点を転換し、実際に患者が「どのような情報源を、どのような優先順位で、どのように使ってクリニックを選んでいるのか」という、患者側の実態調査に基づいた分析に焦点を当てる。
かつて「かかりつけ医」は口コミや地域の評判、あるいは家族・知人からの紹介によって選ばれることが一般的であった。しかし、地域共生メディアmuunの解説が指摘するように、「厚生労働省の最新統計(2024年末時点)によれば、全国の一般診療所数は約10万施設とほぼ横ばい。ただし『かかりつけ医を持たない層』が増加しており、必要なときにネット検索でクリニックを探す行動が一般化しています」という構造変化が進んでいる。
本レポートでは、2024年11月に実施された15,715人規模の大規模調査(メディカル革命byGMO)、Gyro-nによる病院・クリニック選びに関する調査、AI検索時代の新たな患者行動という3つの軸から、患者の医療機関選定行動の実態を、医療機関経営者・製薬企業・医療機器企業のマーケティング担当者が活用できる形で詳述する。
2. 大規模調査が示す「情報源の実態」
2.1 調査の概要
メディカル革命byGMOが実施した「患者の医院選びと予約行動に関する調査」は、「何らかの疾患にかかった経験がある18〜89歳の男女、15,715人」を対象に、2024年11月13日〜18日にかけて実施された、極めて大規模な調査である。委託会社はGMOリサーチ&AI株式会社であり、「患者さんの医院選び・予約・コミュニケーションにおける行動実態を把握し、医療機関の業務効率化と患者さんの利便性向上に繋がるサービスの開発・改善に役立てる」ことを目的としている。
2.2 初めて行く医院探しはGoogle検索が主流
同調査の結果サマリーでは、「あなたが、初めて行く医院を探すときに使ったことがあるツール/方法を全て教えてください」(複数回答)という設問に対し、「第1位は『Google検索』(51.3%)となり半数以上の方が選びました。第2位以下は、『家族に聞く』(31.7%)、『Googleマップ』(29.5%)、『Yahoo!検索』(27.7%)と続きました」という結果が示されている。
この結果は、デジタル検索(Google検索・Googleマップ・Yahoo!検索)が上位を占める一方で、「家族に聞く」という伝統的な情報収集手段も依然として3割以上の利用率を保っていることを示している。デジタル一辺倒ではなく、複数の情報源が併用されている実態が読み取れる。
2.3 医院選びで最も重視される要素
同調査では、医院を選ぶ際の重視ポイントについても詳細なデータが示されている。「医院を選ぶ際に最も重視されているのは医師の診察内容やスタッフの対応の良さで88.1%の人が選択しています」とされ、圧倒的に高い割合で診療の質・対応の良さが最重要視されている。
続く要素として、「次いでアクセスの良さで、立地や駐車場の有無など、通いやすさが重要視されている」「予約に対応していることや、待ち時間の短さといった利便性(60.7%)も重視されており」「口コミや評判(35.9%)や診療時間の柔軟性(34.6%)も患者さんが重視する点として挙げられています」という順位が示されている。
これは、医療機関の情報発信において、単に「見つけてもらう」ことだけでなく、「見つけた後に、診療の質・対応の良さが伝わる」ことの重要性を示している。レポート24で詳述したクリニックPRにおける「医師・スタッフの人柄が伝わるコンテンツ」の価値は、この調査結果によって裏付けられている。
2.4 コミュニケーションツールとしてのLINEの優位性
同調査では、「医院とのコミュニケーションにおいて、あれば便利だと思うツールを一つ選択してください」という設問に対し、「『LINE』(32.5%)が最も多く、以下『電話』(24.8%)、『メール』(18.3%)となりました」という結果が示されている。これは、レポート28で詳述したLINEを活用した再診・服薬継続支援で論じたLINEの高い普及率・利便性が、患者側の意識調査においても裏付けられていることを示す重要なデータである。
2.5 口コミ評価の「危険水域」
同調査では、口コミ評価が患者の受診意欲に与える影響についても具体的な数値が示されている。「患者さんが医院・クリニック・診療所の口コミ評価をどの程度重視し、何点以下の評価であれば他の医療機関を探すかをまとめたものです。最も多くの人が『行きたくない』と回答した口コミ点数は『2点以下』で、全体の26.8%を占めています。次いで『2.5点以下』が22.2%、『3点以下』が12.0%となっています」。
この結果から、「多くの患者は口コミ評価が2点台、特に2点以下の医療機関に対しては、受診を避ける傾向にある」ことが明らかになっている。3点未満の評価が、患者の受診意欲を大きく損なう「危険水域」であることを示す、実務上極めて重要な数値である。
3. Gyro-n調査に見る情報源の「四強」構造
3.1 情報収集チャネルの詳細な内訳
Gyro-nが実施した「病院・クリニック選定に関する調査レポート」では、より詳細な情報源の内訳が示されている。同調査では「次いで多かったのは、家族や友人・知人からのリアルな口コミ(37.7%)で、現実の信頼できる声も依然重要な検討材料となっています」「病院検索サイト(35.0%)やクリニック公式ホームページ(34.3%)も多くの人が閲覧しており」とされ、「これら上位4つ(Google、知人口コミ、専門サイト、公式HP)が情報収集の『四強』と言えるでしょう」と整理されている。
この「四強」構造——検索エンジン、知人の口コミ、病院検索専門サイト(ポータルサイト)、公式ホームページ——は、医療機関が情報発信を設計する際に、どのチャネルにも偏りなく対応する必要があることを示している。特に「知人口コミ」というオフラインの情報伝達が、デジタル時代においても依然として重要な位置を占めている点は、レポート21で詳述した医療機関のコミュニケーション設計が、来院した患者一人ひとりの満足度を高めることが、間接的に新規患者獲得にもつながるという、口コミの連鎖構造を示唆している。
3.2 男女差という重要な視点
Gyro-n調査では、情報収集行動における男女差も分析されている。「男性は情報収集において『効率』を重視する傾向がうかがえます。男性回答では知人からの口コミ利用率(男性20.1%>女性17.4%)や検索サイト利用率(男性19.8%>女性14.9%)が女性より高く、信頼できる情報を効率的に集めて判断材料にしたい姿勢が見られます」とされている。
さらに口コミの確認頻度についても、「全年代で口コミ確認が定着、特に30〜40代は7割以上、高齢層でも4割超が習慣化」「女性は男性の約1.8倍、口コミ内容を重視し行動している」という重要なデータが示されている。「新しいクリニックに行く前にGoogleマップの口コミを確認する人は約6割にのぼりました。『必ず確認する』が26.0%、『時々確認する』が33.3%で、合わせて59.3%が何らかの形で事前に口コミに目を通しています」とされ、Googleマップの口コミ確認が、もはや例外的な行動ではなく「来院前の当たり前の習慣」になりつつあることが示されている。
「実際に『必ず確認する』と答えた人の割合を男女別に見ると、女性が37.0%に対し男性は16.7%で、その差は約2.2倍にもなります」という数値は、レポート16で詳述した花粉症診療のように女性患者が多い診療領域において、口コミ管理の重要性が特に高いことを示唆している。
3.3 口コミ内容の吟味という冷静な判断
同調査では、患者が口コミを単純に鵜呑みにするのではなく、「口コミ内容が理由で来院を取りやめた人は4人に1人いる」一方で「ネガティブ口コミは内容次第:6割が投稿内容を冷静に吟味して判断」という、口コミへの向き合い方の実態も示されている。さらに「患者が求める口コミ件数と評価のバランス:5件の高評価より50件の良評価」「星評価3.7以下のクリニックは選択肢から外されやすい」とされ、単純な平均点だけでなく、口コミの件数・具体的な内容までもが患者の判断材料となっていることがわかる。
「来院をためらった主な理由:医師やスタッフの対応への悪評がトップ」という結果は、前述のメディカル革命byGMO調査における「医師の診察内容やスタッフの対応の良さ」(88.1%)という重視ポイントと完全に符合しており、複数の独立した調査から一貫して「スタッフの対応」が患者の医療機関選定における最重要要素であることが確認できる。
4. クリニック未来ラボ調査に見る「比較検討」の実態
4.1 7割以上が事前に比較検討する
クリニック未来ラボ(ドクターズファイル)による「患者のクリニック選びに関する調査」(全国主要都市の20〜59歳男女4,000人対象、2020年7月実施、2025年9月更新)では、「『非常によく比較検討する』と『よく比較検討する』を合わせると、全体の73.2%の人がクリニックに行く前に、複数の候補を検討しているという結果に」とされている。
この結果は、患者が「たまたま見つけた1つのクリニックにそのまま行く」のではなく、多くの場合、複数の選択肢を比較した上で意思決定を行っていることを示している。医療機関にとっては、他の候補と比較された際に選ばれる「相対的な魅力」を発信する必要があることを意味する。
4.2 「話しやすいドクター」というニーズの本質
同調査では、患者が求める医師像についても興味深い分析がなされている。「不安や悩みを抱えてクリニックを訪れる患者は、正確に自分の症状をドクターに理解してほしいと思うでしょうし、疑問や心配事はできる限り解消して、安心を得たいと考えているはずです。だからこそ、求めているのは『話しやすいドクター』の存在なのです」とされ、「十分な説明を得られていないというフラストレーションが、クリニックに対する満足度の低下を招いている」ことが指摘されている。
この知見は、レポート21で詳述したSDM(共同意思決定)・ティーチバックという、診察室内でのコミュニケーション技法が、単に診療の質を高めるだけでなく、患者満足度・ひいては口コミ評価・再来院意欲にまで直結する、経営上も重要な要素であることを裏付けている。
5. AI検索時代への移行という新たな変化
5.1 生成AIチャットボットの台頭
株式会社LANYの解説では、患者の医療機関探索行動における最新の変化が論じられている。「ChatGPTやGeminiといったAIチャットボットの利用者は急速に増加しており、世界的調査会社のガートナーは、2026年までに従来の検索クエリの25%がAIチャットボットなどに置き換わると予測しています」とされ、「これまでは『渋谷 二重整形』と検索していた患者様が、AIに対しては『渋谷で二重整形が上手で、口コミが良いクリニックを3つ教えて』というように、より具体的で対話的な質問をするようになります」という行動変化が予測されている。
5.2 AI Overviewsという検索結果の変化
同解説では、「2024年5月14日に米国で導入が開始され、同年8月に日本へも導入されたGoogle検索の新たなサービス『AI Overviews』」についても言及されており、「これらの変化は、患者様がクリニックのホームページを訪れる前に、Googleの検索結果画面上で必要な情報を得てしまう未来を示唆しています」とされている。これはレポート40で詳述したYMYL・E-E-A-Tの重要性が、AI検索時代においてさらに増していくことを示唆する動向である。
5.3 AIによる「思考代理」とZMOTの最終段階
同解説では、クリニック選定という意思決定の性質についても分析がなされている。「クリニック選定はまさしく『理性の世界』にあたります。料金、アクセス、医師の実績、口コミといった複数の要素を比較検討して決める『高関与かつ理性的』な領域に該当するため、AIは患者様の『思考代理人』として、クリニックの比較検討を代行するようになります」。
しかし、AIによる比較検討だけで意思決定が完結するわけではない。「AIに推奨されたクリニックについて、患者様は最終的な意思決定(FMOT)の前に、SNSで『〇〇クリニック 口コミ』などと検索し、リアルな体験談を探します。このZMOTの最終段階で、信頼できる第三者の声が『答え合わせ』となり、来院を後押しします」とされ、AIによる一次的な絞り込みの後にも、人間の生の声(口コミ・SNS投稿)による最終確認というプロセスが残ることが示されている。
6. アレルギー疾患・睡眠医療領域における実務的含意
6.1 花粉症シーズンの検索行動への対応
レポート16で詳述した花粉症シーズンのアクセス改善において、シーズン初期に新規の耳鼻咽喉科・アレルギー科を探す患者が増加することを踏まえると、本レポートで示した「Google検索51.3%・Googleマップ29.5%」という主要チャネルへの対応(レポート22で詳述したMEO対策)が、シーズン前の準備として特に重要である。
6.2 睡眠時無呼吸症候群患者の情報探索特性
レポート1で詳述したSASは、家族から睡眠中の症状(いびき・無呼吸)を指摘されて受診を検討するケースが多い疾患である。前述の調査で「家族に聞く」が31.7%という高い利用率を示していたことは、SAS領域において特に、家族を通じた情報伝達・受診勧奨の重要性を裏付けている。
6.3 口コミ管理の疾患領域別の重要性
女性患者の比率が高い疾患領域(レポート7で詳述したアトピー性皮膚炎等)では、口コミ確認率が男性の約2.2倍という前述のデータを踏まえ、Googleマップの口コミへの丁寧な返信・管理(レポート22で詳述した内容)が、他の診療領域以上に重要な意味を持つ。
7. 製薬企業・医療機器企業担当者への含意
7.1 疾患啓発コンテンツと患者の情報探索行動の接続
製薬企業がレポート37〜40で詳述した疾患啓発コンテンツを設計する際、本レポートで示した患者の実際の情報探索行動(Google検索起点・口コミ確認の習慣化)を踏まえ、疾患啓発コンテンツから医療機関受診への自然な導線設計(レポート39で詳述した規制上の留意点を踏まえた形で)を検討することが有効である。
7.2 AI検索時代を見据えた情報発信の準備
生成AIチャットボットによる情報探索が拡大する中、疾患啓発コンテンツの構造化・出典の明確化(レポート40で詳述したE-E-A-T)は、AIが情報源として引用しやすい形式でのコンテンツ設計という、新たな重要性を帯びている。
8. まとめ
15,715人規模の調査を含む複数の独立した調査結果は、患者の医療機関選定行動について一貫した実態を示している。初めて行く医院探しにおいてはGoogle検索(51.3%)が最も利用されるツールであり、次いで家族への相談(31.7%)・Googleマップ(29.5%)が続く。選定において最も重視される要素は圧倒的に「医師の診察内容やスタッフの対応の良さ」(88.1%)であり、口コミ評価が2点台以下になると、多くの患者が受診を避ける「危険水域」に達する。
Google・知人口コミ・専門ポータルサイト・公式ホームページという「情報収集の四強」を意識した多面的な情報発信、7割以上の患者が行う事前の比較検討を前提とした相対的な魅力の訴求、そして「話しやすいドクター」という診察室内コミュニケーションの質が、口コミ・再来院意欲にまで波及するという構造理解が、医療機関・製薬企業双方にとって重要な指針となる。
生成AIチャットボット・AI Overviewsという新たな検索インフラの台頭により、患者の情報探索行動は「キーワード検索」から「AIとの対話」へと移行しつつあるが、最終的な意思決定の前には、人間による生の口コミ・体験談での「答え合わせ」が行われるという構造は変わらない。デジタルとリアル、AIと人間の声、その両方への丁寧な対応が、選ばれる医療機関・信頼される疾患啓発コンテンツの共通の基盤である。
参考情報・出典
メディカル革命byGMO「患者の医院選びと予約行動に関する調査」2024年11月13日〜18日実施、対象18〜89歳15,715人、GMOリサーチ&AI株式会社委託
「『患者の医院選びと予約行動に関する調査』を実施のお知らせ 半数以上が地図アプリ上での医院予約を『便利』と回答」
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本レポートは公開情報・各種調査データに基づき作成した調査レポートであり、個別の経営判断・診断・治療判断を目的とするものではありません。各調査の詳細な方法論・サンプル特性については、各出典元の公表情報をご確認ください。
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