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LINEを活用した再診・服薬継続支援  服薬アドヒアランス向上とリマインド配信設計の実践的解説

JMWO-RR-0028

最終更新日 2026/6/18

LINEを活用した再診・服薬継続支援  服薬アドヒアランス向上とリマインド配信設計の実践的解説

LINEを活用した再診・服薬継続支援

服薬アドヒアランス向上とリマインド配信設計の実践的解説

日本医療福祉機構 調査レポート|関連プロジェクト:医療DX 患者体験向上プロジェクト


1. はじめに――診察室を出た後の患者をどう支えるか

レポート15252627では、患者が医療機関に来院し、受付から診察を経て会計に至るまでの体験設計を論じてきた。しかし、慢性疾患の管理において臨床的アウトカムを最終的に左右するのは、診察室を出た後、次の受診日までの数週間〜数ヶ月にわたる「処方された薬を正しく継続して服用するか」「定期検診を忘れずに受診するか」という、医療機関の目の届かない期間の患者行動である。

MSDマニュアルプロフェッショナル版は、服薬アドヒアランス不良の影響について衝撃的なデータを示している。「アドヒアランス不良の最も明らかな結果は、疾患が軽快もしくは治癒しないことである。米国では、アドヒアランス不良のために毎年心血管疾患によって12万5,000人が死に至ると推定される。患者が指示通りに自分の薬剤を服用すれば、最大で23%の介護施設への入所、10%の入院、多くの外来診療、多くの診断検査、および多くの不要な治療を回避できるはずである」。

本レポートでは、患者ジャーニーの「来院後」というフェーズに焦点を当て、LINE公式アカウントを中心としたリマインド配信の設計、服薬アドヒアランスという臨床概念の正確な理解、そして実際の医療機関・製薬企業による活用事例を、医療機関経営者・医療従事者・製薬企業担当者が活用できる形で詳述する。本レポートは、レポート15〜27で構築してきた「医療DX患者体験向上プロジェクト」シリーズの最終回として、患者ジャーニー全体を閉じる役割を担う。


2. 服薬アドヒアランスという概念の正確な理解

2.1 アドヒアランスとコンプライアンスの違い

服薬アドヒアランスという用語を正確に理解するためには、その前身となった「服薬コンプライアンス」という概念との違いを把握することが重要である。ウィーメックス(旧PHC株式会社)の解説では、「コンプライアンスとは、患者さんが医師の指示に従ってきちんと服薬できているかどうかを表すものです。アドヒアランスは患者さんが能動的に治療に参加することを示しますが、コンプライアンスは受動的な参加を示すものとなります」と整理されている。

curon(クロン、医療機関向けオンライン診療ニュース)の解説でも、「コンプライアンスは、医療従事者から患者さんに対して一方通行に治療方針を決定していたのに対し、アドヒアランスは、医療従事者と患者さんが一緒になって治療方針を決定し、治療に取り組んでいくということが特徴です。医療従事者と患者の関係性の変化がこの言葉に現れています」とされている。

この用語の変遷は、レポート21で詳述した「パターナリズムからSDM(共同意思決定)へ」という医療における意思決定モデルの歴史的変遷と完全に並行する現象である。「服薬を守らせる」という発想から「患者が主体的に治療に関与する」という発想への転換が、服薬アドヒアランスという言葉に体現されている。

2.2 アドヒアランス不良の主な要因

ウィーメックスの解説では、患者がアドヒアランス不良に陥る主な原因として、「患者さんが薬を飲む必要性を感じていない場合、用法用量通りに正しく服用してもらうことはとても困難です。特に自覚症状に乏しい疾患の治療をしている方では、服用がおろそかになるケースもよく見られます」という点が指摘されている。

レポート278で詳述したアレルギー疾患(花粉症・慢性蕁麻疹・喘息等)は、この「自覚症状に乏しい」という観点で特に重要な意味を持つ。喘息の長期管理薬(吸入ステロイド)は症状がない時期にも継続することが重要であるにもかかわらず、「症状がないから飲まなくていい」という患者の誤った判断によって中断されやすい。レポート8で詳述した「軽症・中等症でも喘息死が起きる」という臨床的事実は、まさにこのアドヒアランス不良がもたらす重大な結果の一例である。

2.3 年齢層によるアドヒアランス不良の異なる様相

MSDマニュアルプロフェッショナル版では、年齢層によってアドヒアランス不良の様相が異なることが示されている。「小児は、成人より治療レジメンに従わない可能性が高い。複雑かつ長期の治療が必要な慢性疾患では、アドヒアランスは最悪である(例、若年性糖尿病、喘息)。親は処方の指示をはっきり理解せず、15分以内に、医師から与えられた情報の約半分を忘れる可能性がある」という指摘は、レポート8で詳述した小児喘息患者の管理において重要な示唆を与える。

curon(クロン)の解説でも同様に、「小児患者の場合、成人患者と比較して治療レジメンに従わない可能性が高く、複雑で長期の治療が必要な疾患でのアドヒアランスは非常に悪いとの報告もある。保護者が処方意図を把握していないことが多い」とされ、「高齢者の場合は、認知機能の低下による服薬管理能力の低下が報告されている」という、高齢者特有の課題も指摘されている。これはレポート12で詳述した高齢者のヘルスリテラシー課題と直接的に接続する。

「医師から与えられた情報の約半分を忘れる可能性がある」というMSDマニュアルの指摘は、レポート21で詳述したティーチバックという理解度確認手法の重要性を、服薬アドヒアランスという別の角度から再確認するものである。診察室での説明だけでは不十分であり、来院後のリマインド・補足情報提供という継続的な支援が必要となる根拠がここにある。

2.4 アドヒアランス向上の基本アプローチ

薬局経営.COMの解説では、アドヒアランス向上のための実践的アプローチが整理されている。「服薬の意義や効果を患者さんに十分理解して頂くことは、症状の改善に必要不可欠です。そのためには、患者さんと円滑なコミュニケーションを図り、服薬するモチベーションを高める必要があります。また服薬カレンダーやアプリの活用、ご家族や介護者のサポートなどで、服薬アドヒアランスを向上させるための工夫も大切です」。

ウィーメックスの解説でも、「アドヒアランスの向上において最も重要なことは、患者さんに服薬の意義を理解してもらい、納得したうえでお薬を飲んでもらうことです」とされ、デジタルツール・アプリの活用がこうした服薬の意義理解・モチベーション維持を支援する手段として位置づけられている。


3. LINE公式アカウントという媒体の特性

3.1 国内利用者数という規模の優位性

LINE公式アカウントが医療機関にとって有効なツールとされる最大の理由は、その圧倒的な普及率である。複数の解説によれば、LINEは国内月間利用者数9,700万人以上(2024年3月末時点、Connect Verse・Mico各解説)、さらに最新のデータでは「国内1億人以上(2025年12月末時点)」(linestep.jp解説)に達している。

linestep.jpの解説では、「LINEは年代や性別の幅広さだけでなく、エリアに偏りなく多くの利用者が存在している点がメリットです。特に地域に根差した医療機関を運営する方にとって、LINEの導入は大きな利点となる」とされている。これはレポート22で詳述した地域密着型医療機関のオンライン戦略において、SNSの中でもLINEが特に高い適合性を持つことを裏付けている。

3.2 メッセージ到達率の高さ

LINEが他のSNSと一線を画す特徴として、メッセージの到達率・開封率の高さが繰り返し強調されている。linestep.jpの解説では、「弊社の調査では、LINEのメッセージを『ほぼすべて確認する』と回答したユーザーは、男女ともに約60%。他のSNSと比較しても、大きく差を付けている」とされる。さらに「LINEヤフー社の調査によると、LINE公式アカウントのメッセージを即日確認する、と回答したユーザーは、約8割といった結果が出ている」という、極めて高い即時確認率も示されている。

Connect Verseの解説では、「メッセージの開封率が高く、重要な情報伝達がスムーズに行える点も大きなメリットです。休診や代診といった緊急のお知らせも即座に届けられるため、患者さんとの情報伝達の齟齬を防ぎ、トラブルを回避できる」と、この高い到達率がもたらす実務的な価値が示されている。

この特性は、服薬リマインド・再診案内という、患者の行動を「ある時点で」促す必要があるコミュニケーションにおいて、決定的に重要な意味を持つ。はがき・メールと比較してLINEの圧倒的な開封率の高さは、リマインドメッセージが実際に患者の目に届く可能性を大幅に高める。

3.3 専用アプリ不要という導入のしやすさ

Connect Verseの解説では、「専用アプリのダウンロードが不要なため、患者さんの利便性を損なうことなく、予約や情報提供といった様々なサービスを提供できる可能性がある」という、LINEの利便性が強調されている。MEDISMAの解説でも、「専用アプリをダウンロードする必要がないため、患者さんにとってのハードルが低く、予約の利便性が向上する」とされている。

この「新たなアプリのダウンロードを要求しない」という設計は、レポート12で詳述した高齢者・デジタル非利用者への配慮という観点からも重要である。すでにLINEを日常的に使用している患者にとって、医療機関の公式アカウントを「友だち追加」するだけで利用を開始できることは、新規ツールの学習という心理的・操作的なハードルを大幅に下げる。


4. 再診率向上のためのリマインド配信設計

4.1 はがき案内との比較における優位性

Mico(ミコ)の解説では、定期検診のリマインドにおいてLINEがもたらす変化が明確に示されている。「LINE公式アカウントから定期検診の案内メッセージを送ることで、再診率を高めることができます。急を要さない定期検診は忘れられていることも多く、はがきで案内を送っても読まれないケースがほとんどです。適切な頻度でコミュニケーションを取り続けることで、再診率を増やすことができます」。

この「はがきは読まれない」という指摘は、従来型の紙媒体によるリマインドの限界を端的に示している。レポート12で詳述した高齢者への情報到達においては紙媒体が依然として重要な役割を持つことを論じたが、再診案内という「タイムリーな行動喚起」を必要とするコミュニケーションにおいては、デジタルチャネルの即時性・到達率の優位性がより顕著に現れる。

4.2 ステップ配信という設計手法

Mico(ミコ)の解説では、具体的なステップ配信の設計例が示されている。「例えば、検査から6ヶ月おきに定期検診の案内を送る、ステップ配信で、友だち追加後1週間後に健康に関するTipsを連絡、1ヶ月後に再検査の案内を送るなど、クリニック、病院の形態に合わせてコミュニケーションを取りましょう」。

このステップ配信という設計思想は、レポート16で詳述した花粉症シーズンの初期療法案内(飛散開始の2週間〜1ヶ月前のリマインド)にも応用可能である。前年に花粉症と診断された患者に対して、年明け(1月頃)に「そろそろ初期療法の準備を始めましょう」というメッセージを自動配信する設計は、季節性疾患の受診行動を前倒しさせる効果的な施策となりうる。

4.3 リッチメニューによる導線整理

linestep.jpの解説では、LINE公式アカウント運用における重要な機能として「リッチメニュー」が紹介されている。「情報の整理に役立つのが、トークルーム内に固定で表示できるリッチメニューです。ボタンのタップにより外部サイトへと遷移する設定ができるので、HPや予約システムへと自然な流れで誘導できます」。

このリッチメニューの活用は、レポート15で詳述したWeb予約システムとの連携において重要な役割を果たす。「予約」「診療時間」「アクセス」「よくある質問」といった項目をリッチメニューに整理することで、患者は必要な情報・機能に直感的にアクセスできるようになる。

4.4 自動応答メッセージによる問い合わせ対応の効率化

linestep.jpの解説では、「『駐車場』や『診療時間』など、よくある質問を網羅しておけば、お問い合わせ対応の効率化につながる」とされ、自動応答メッセージの活用が業務効率化(レポート25で詳述)にも寄与することが示されている。


5. 服薬アドヒアランス支援における製薬企業の取り組み

5.1 アムジェン×MICINによる共同検証プログラム

インターフェックスWeekの解説では、製薬企業による服薬アドヒアランス向上支援の具体的な事例が紹介されている。「アムジェン株式会社と株式会社MICIN(マイシン)は、オンライン診療サービス『curon(クロン)』を活用した共同検証プログラムを実施しています。対象は、アトピー性皮膚炎や尋常性乾癬など、治療・服薬の長期継続が必要な慢性疾患を持つ患者です」。

このプログラムでは、「スマートフォンアプリの機能を活用し、診察や服薬指導、通院に関する通知などをオンラインで行う仕組みが検証されています。こうした取り組みは、患者の通院負担の軽減や治療継続を支援する」ことを目的としている。

この事例は、レポート7で詳述したアトピー性皮膚炎が「長期にわたる継続的な管理が必要な疾患」であり、「『治療効果に疲れてしまったり、時間をかけてQOLが下がってしまったりする前に』早めの対応が重要」というガイドラインの方針とも一致する、製薬企業による患者中心の継続支援モデルの先進例である。

5.2 製薬企業による服薬継続支援の意義

「近年、一部の製薬企業や薬局は、患者が治療を継続しやすい環境づくりにも積極的に取り組んでおり、服薬アドヒアランス向上を支援する新たなモデルとして注目されています」(インターフェックスWeek解説)という記述は、製薬企業の役割が「薬を提供する」という従来の枠を超え、「薬を正しく継続して使用してもらう」という治療成果に直結する領域まで拡大していることを示している。

この潮流は、レポート513で詳述した舌下免疫療法(3〜5年という長期継続が必要な治療)においても、極めて重要な応用可能性を持つ。舌下免疫療法の脱落率の高さという課題(毎日の服薬という負担の大きさ)に対して、LINE公式アカウントを活用した日々のリマインド・継続率モニタリングという支援モデルは、治療完遂率の向上に直接的に寄与する可能性がある。


6. アレルギー疾患領域における具体的な活用シナリオ

6.1 舌下免疫療法の継続支援

レポート5で詳述した舌下免疫療法は、3〜5年間という長期にわたる毎日の服薬継続が治療成功の鍵である。LINE公式アカウントを活用した支援シナリオとして以下が考えられる。

  • 服薬開始直後の数週間:「正しく服薬できていますか」という確認メッセージの定期配信

  • 副反応(口腔内の違和感等)に関するセルフチェックリストの提供

  • 花粉シーズン前の「服薬を継続することでシーズン中の症状軽減が期待できます」という励ましのメッセージ

  • 処方薄切れタイミングでの「次回受診の予約をお取りください」というリマインド

6.2 喘息の長期管理薬継続支援

レポート8で詳述したように、喘息死亡例の3分の1が軽症・中等症であるという事実は、症状がない時期の吸入ステロイド継続の重要性を示している。LINE公式アカウントを活用したリマインドは、「症状がないから」という理由での自己中断を防ぐ重要な手段となりうる。

  • 定期的な「吸入薬は規則正しく続けていますか」というチェックインメッセージ

  • 季節の変わり目(増悪リスクが高まる時期)における注意喚起

  • 残薬確認・処方継続のための受診案内

6.3 慢性蕁麻疹・アトピー性皮膚炎の経過観察支援

レポート7で詳述した慢性蕁麻疹・アトピー性皮膚炎のような慢性疾患では、症状の変動に応じた治療調整が重要であり、定期的な経過観察の受診継続が治療成果に直結する。前述のアムジェン×MICINの事例のように、定期的な症状確認・通院リマインドをLINE経由で提供することは、患者の治療離脱を防ぐ実践的な手段となる。

6.4 花粉症初期療法のシーズン前リマインド

レポート16で詳述した初期療法の重要性を踏まえ、前年に花粉症と診断された患者に対して、シーズン開始前(1月頃)に「そろそろ花粉症の準備の時期です。初期療法のご相談はお早めに」というステップ配信を行うことは、患者の受診行動を前倒しさせ、シーズン中の混雑緩和(レポート16で詳述した需要マネジメント)にも寄与する。


7. 運用上の留意点

7.1 個人情報の取り扱いと医療広告ガイドラインとの関係

LINE公式アカウントを医療機関が運用する際には、患者の個人情報・診療情報の取り扱いに関する厳格な配慮が必要である。配信内容が特定の患者の病状・治療内容に関わる場合、個人情報保護法上の適切な同意取得・セキュリティ管理体制の整備が前提となる。

また、レポート23で詳述した医療広告ガイドラインの観点からも、LINE配信における表現(治療効果に関する具体的数値の記載等)には、ウェブサイト・SNSと同様の規制が適用される点に留意が必要である。

7.2 配信頻度の適切な設計

過度に頻繁な配信は、患者にとって煩わしさを感じさせ、ブロック(配信停止)につながるリスクがある。Mico(ミコ)の解説が示すステップ配信の例(友だち追加後1週間後・1ヶ月後等の段階的配信)のように、医学的に意味のあるタイミングを精査した上での配信設計が、患者にとって有益な情報提供として受け止められる鍵となる。

7.3 緊急時対応との区別

レポート24で詳述したSNS運用における留意点(「医療相談の場にしないこと」)は、LINE公式アカウントの運用においても同様に適用される。チャット機能を通じた患者からの個別の症状相談に対しては、具体的な診断・治療方針の回答を避け、受診・電話相談への誘導にとどめる運用ルールの整備が必要である。

特にレポート14で詳述したアナフィラキシー等の緊急性の高い症状については、LINEというテキストベースの非同期コミュニケーション手段では対応が困難であることを、患者にも明確に伝えておく必要がある(「緊急の場合は救急要請をしてください。LINEでは緊急対応はできません」という案内の明示等)。


8. 製薬企業・医療機器企業担当者への含意

8.1 疾患領域特化型のリマインドコンテンツ提供

製薬企業が、アレルギー疾患領域に特化した服薬リマインド・経過観察コンテンツ(医学的に妥当なタイミング設計を含む)を、医療機関のLINE公式アカウント運用支援として提供することは、レポート26で詳述したWeb問診テンプレートの提供と同様、医療機関の業務効率化と患者の治療継続支援の両方に貢献する価値の高い取り組みである。

8.2 アムジェン×MICIN型の協業モデルの拡張

前述のアムジェン×MICINの共同検証プログラムは、製薬企業がデジタルヘルス企業と協業し、特定の疾患領域における服薬アドヒアランス支援モデルを構築する先進的な事例である。アレルギー疾患領域(舌下免疫療法・生物学的製剤等の長期治療が必要な領域)においても、同様の協業モデルの展開可能性がある。

8.3 患者教育コンテンツとしてのアドヒアランスの意義説明

服薬アドヒアランス向上の根本は「患者が服薬の意義を理解し、納得する」ことにある(前述のウィーメックス・curon解説)。製薬企業が、なぜ症状がない時期にも薬を継続する必要があるのか(喘息の長期管理薬等)を分かりやすく説明する患者教育コンテンツを提供することは、リマインドメッセージという「形式」を支える「内容」の質を高める重要な貢献となる。


9. まとめ

服薬アドヒアランス——患者が治療方針を理解・納得した上で主体的に服薬を継続すること——は、医療機関での診察という「点」の介入だけでは実現できない、来院後の継続的な患者エンゲージメントによって支えられるべき臨床的成果である。

LINE公式アカウントは、国内1億人以上という普及率、約8割という極めて高いメッセージ即時確認率、専用アプリ不要という導入のしやすさという特性から、はがき・メール等の従来型リマインド手段を大きく上回る到達力を持つツールとして、再診率向上・服薬継続支援において重要な役割を担う。

ステップ配信による段階的なコミュニケーション設計、リッチメニューによる導線整理、自動応答メッセージによる問い合わせ対応の効率化という具体的な機能活用に加え、アムジェン×MICINの共同検証プログラムのような製薬企業による先進的な取り組みは、デジタル技術が患者の治療継続を支援する新たなモデルを示している。

レポート15から始まった医療DX患者体験向上プロジェクトのシリーズは、Web問診・予約という「来院前」、業務オペレーション・問診項目設計という「来院中の運用」、院内空間設計という「来院中の物理的体験」、そして本レポートで論じた服薬継続支援という「来院後」まで、患者ジャーニーの全体を一貫して捉えることの重要性を示している。患者にとっての医療体験は、診察室での数分間だけでなく、その前後に広がる継続的なプロセス全体として設計されるべきものである。


参考情報・出典

  • MSDマニュアル プロフェッショナル版「薬剤レジメンに対するアドヒアランス」23. 臨床薬理学

  • ウィーメックス株式会社(旧PHC株式会社)メディコム「服薬アドヒアランスとは?重要性とアドヒアランス不良に陥る理由、コンプライアンスとの違いを解説」

  • curon(クロン)医療機関向けオンライン診療ニュース「服薬アドヒアランスとは」

  • 薬局経営.COM「服薬アドヒアランスとは?薬物治療の効果を最大限にするために」

  • インターフェックスWeek/再生医療EXPO「服薬アドヒアランスとは?不良に陥る要因や企業の改善事例を解説」(アムジェン株式会社・株式会社MICIN共同検証プログラム)

  • マイナビ看護師「アドヒアランスとは? 看護現場でできる取り組み」

  • Mico(ミコ)「クリニック・病院でLINE公式アカウントを活用する方法|成功事例と導入するメリットを解説」

  • linestep.jp「病院やクリニックでLINE公式アカウントを活用する5つの方法」

  • Connect Verse「病院・クリニック向けLINE公式アカウント導入ガイド|集患・患者満足度UPの秘訣」

  • MEDISMA「LINE公式アカウントをクリニックで運用するには?導入3ステップ」

  • メディカル革命byGMO「LINE公式アカウントを医療機関へ導入する際のポイントと作成手順」

  • Liny(LINE公式アカウントの販促や顧客管理)「クリニックや病院の予約受付・予約管理をLINEで行う方法」(日本体育大学クリニック・アレックス東京の導入事例)


本レポートは公開情報・学術文献に基づき作成した調査レポートであり、個別の診断・治療判断を目的とするものではありません。臨床的判断については、最新のガイドラインおよび専門医の判断に基づいて行ってください。LINE公式アカウント等の運用にあたっては、個人情報保護法・医療広告ガイドライン等の関連法規を確認の上、適切な体制を整備してください。

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